刺青とヌードの美術史
2008年9月6日 読書
公共の場で裸になってはいけないという「服脱ぎ禁止令」は明治初年の条例に溯る。それ以前の日本はまさに裸の楽園であった。裸の習俗はもはや跡形もない。一方、日本ほどヌード彫刻が場外に氾濫している国はないそうだ。都庁前広場にずらりと並んだ彫刻のうち半数以上がヌード。にもかかわらず、街を歩いていてヌードの彫刻が目に入っても不自然に思わず、立ち止まって見る人もほとんどいない。「ヌードというものが西洋固有の芸術であって、そこには様々なルールがあることを理解せずに、上っ面ばかりを模倣してしまった」と指摘する。この本は独自の視点からの美術史が描かれていて面白い。著者の宮下規久朗さんは、兵庫県立近代美術館、東京都現代美術館の学芸員を経て、神戸大学の准教授の職にある。学芸員時代に辻椎雄、木下直之に影響を受ける。「私はかつて裸で歩き回るのが好きだった」そうである。
著者:宮下規久朗、出版社:日本放送出版協会、発行年月:2008年04月
著者:宮下規久朗、出版社:日本放送出版協会、発行年月:2008年04月
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